不動産投資において最も重要なのは、その物件選びといっても過言ではありません。ただ、物件を選ぶ際に見るべきところは多くあり、注意すべきところもあります。今回の記事では、それらについて詳しく解説。併せて物件選びに失敗しないための見極め方をお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

1. こんな物件はNG!候補から外すべき物件

まずは、不動産投資をするにあたり、候補から外すべき物件についてお話していきます。

 

1-1. 確認済証が発行されていない物件

ほとんどの物件は、建築前に「確認済証」というものが発行されます。これは、物件の建築計画が法令に適合していると確認されたことを証明する書類のこと。この確認済証がない物件の場合、銀行からの融資が通りづらいというデメリットがあり、仮についたとしても高金利の場合が多いです。結果、投資効率が悪くなり、買い手が見つからないという状況に陥ってしまいます。確認済証が発行されていない物件には、手を出さないようにしましょう。

 

1-2. 政令指定都市周辺のエリア以外に建つ物件

不動産投資の利益のもとは家賃です。利益を上げるためには投資先の不動産の賃貸需要を把握することが鍵になります。空室が長く続いていたり、多かったりする物件や人口が減少傾向にあるエリアは避けたほうが無難といえます。判断する1つの基準としては、東京、そして国が定めている政令指定都市周辺のエリア以外の物件。政令指定都市は以下の通りです。

 

・北海道:札幌市

・宮城県:仙台市

・埼玉県:さいたま市

・千葉県:千葉市

・神奈川県:横浜市、川崎市、相模原市

・新潟県:新潟市

・静岡県:静岡市、浜松市

・愛知県:名古屋市

・京都府:京都市

・大阪府:大阪市、堺市

・兵庫県:神戸市

・岡山県:岡山市

・広島県:広島市

・福岡県:北九州市、福岡市

・熊本県:熊本市

 

これらのエリア周辺以外の物件に投資は控えるようにしましょう。ただ、例外として、政令指定都市でなくとも、集客力が強い不動産管理会社があるエリアならば、投資を検討しても良いでしょう。

 

また、需要のあるエリアであっても、必ずしも安定しているとは言い切れません。例えば、大学生などの特定の層をターゲットにしている郊外の賃貸では、そのターゲットが移転してしまうと、次の入居者がなかなか来ないということも多くあります。

 

1-3. 事故物件の心配がある物件

条件が非常に良い物件であるにも関わらず、家賃が極端に安い場合があります。そのような物件を見つけた時は、事故物件を疑いましょう。事故物件とは、過去に自殺や殺人事件、孤独死など何らかの事故で人が亡くなったことがある物件のこと。これらの物件に入居する人や物件を売る際には、事故があったことを告知しなければならないという義務があります。

 

このような事情から、事故物件は新しい入居者が来たり物件の売却が難しくなります。

ただ、自殺と孤独死があった物件は、家賃を下げることで入居したいという人は少なからずいます。そして、殺人事件があった物件は、価値が半減することも珍しくないため、投資するのはやめておきましょう。

 

基本的に事故物件は候補から外すべきではありますが、誰も入居したがらない、というわけではないということを覚えておきましょう。

 

2. 最良な物件を選ぶためのポイント

投資候補から外すべき物件についてお話してきました。ここでは逆に、最良な物件を選ぶために抑えておきたいポイントについて紹介していきます。

 

2-1. 収益性と物件のスペックを見極める

まずは収益性と物件のスペック。最初に収益性についてですが、利回りが高いからといって、良い物件だと判断するのは早計です。長期間、新しい入居者が来ていなかったり、空室になる頻度が高いなど、利回りが高い裏にデメリットが潜んでいる可能性があります。例えば首都圏にある区分マンションの場合、利回りの平均は約3%台~5%ほどです。利回りが高い物件を見つけたら、まずは周辺の物件と比較し、それが適切な数値なのかを見極めましょう。

 

次に物件のスペックです。これは見るべきポイントが多く、築年数、設備、間取り、収納などがあり、特にセキュリティ面や水回りが重要です。スペックと家賃が適切で、如何に住みたいと思ってもらえるかを考えてみましょう。

 

築年数が古い場合は、物件の老朽化も進んでいることもあるので、修繕が必要になる可能性があるということも念頭に置いておくのも忘れずに。物件の管理状態も入居希望者は見ているので、管理会社についても調べておくのが吉です。

 

2-2. 人気のあるエリアに建っている物件に絞る

駅が近かったり都市部にアクセスしやすい、治安が良い、周辺の施設が充実しているなど、人気のあるエリアに建っている物件に注目しましょう。前述した、政令指定都市周辺のエリアから絞ってみるのがおススメ。このような好条件の物件は、入居者が移転しても、すぐに次の入居者が来てくれる可能性が高いです。

 

2-3. 信頼できる不動産会社を見つける

物件の情報は不動産会社から入手することになりますが、ここで重要になるのが信頼できる不動産会社を見つけられるかどうかです。その見つけ方はネットや口コミなど、さまざまな方法がありますが、ここでは信頼できると判断できるポイントについてお話します。ポイントは主に以下の5つ。

 

・会社の業歴が長い

信頼できるところ=長く続いていると考えられます。基準としては10年以上のところが良いでしょう。

 

・事業所がグレードの高いビルにある

グレードが高いビルは、入居審査が厳しいところがほとんど。そのようなところに事業所を構えられるということは、顧客目線の真っ当なサービスを提供している会社だと考えることができます。

 

・お客様からの声を公開している

お客様からの声は、言ってしまえばいくらでも捏造が可能です。ですので、顔写真や実名付きで公開しているところを探してみましょう。ただ、顔写真があっても、無料の画像素材を使っているところもあるので、その辺も注意して見てみましょう。

 

・投資家からの悪い評判がない

火のない所に煙は立ちません。ネット上で、投資家からの悪い評判や噂がないかも調べておきましょう。

 

・多くの金融機関との取引がある

信頼ができるところはその分、多くの金融機関との取引があります。どのくらいの金融機関と取引があるかも見ておくのが良いです。

 

3. 投資物件に求める条件の整理が成功の鍵

これまでお話してきたのは、不動産の見極め方について。良い投資先の物件を見つけるために、もう1つ重要なことがあります。それは、ご自身の出せる予算や求める利回りなどの条件を整理することです。整理することで、あなたに合った物件を見つけやすくなり、収益を見込めるようになります。

 

3-1. 予算

予算によって、購入できる物件の幅が変ってきます。ですので、自己資金はどれくらいあるのか、融資はどれくらい組めるのか、不動産投資にいくらの金額を使えるのかを確認しましょう。最初から大きな額の投資をするのが不安という場合は、マンションやアパートの一室からの所有といった、少額投資からしていくのが良いでしょう。

 

3-2. 築年数

築年数は、新耐震基準で見ましょう。新耐震基準は1978年に起きた宮城県沖地震を受け、1981年6月1日に旧耐震基準から改正されました。条件の特徴としては、震度6~7の地震でも倒壊しないというもの。また、2011年に起きた東日本大震災や2016年に起きた熊本地震を始め、大きな地震が相次いでいる中で、耐震性がより注目され始めているといって良いでしょう。

 

3-3. 間取り

間取りは、ターゲットを意識する必要があります。間取りは大きく分けてワンルームとそれ以外の部屋の2つで、ワンルームは1人暮らし、それ以外は複数人での居住を想定。それぞれにメリットとデメリットがあります。

 

・ワンルームのメリットとデメリット

近年、晩婚化や未婚化の影響もあり、ワンルームの需要が高くなってきているというのがメリットです。デメリットとして、入居者は独身のサラリーマンが多いため、転勤などの短期的な居住がほとんどです。需要は高いものの、入居者の入れ替わりが早くなってしまう場合があります。

 

・それ以外のメリットとデメリット

まずはメリットですが、部屋数の多いところは、ファミリータイプとして家族での居住を想定されており、長期間の契約が期待できます。デメリットは、ワンルームよりも需要が少ないという点。家族構成によって求められる間取りも違ってくるため、新しい入居者が見つかるまで時間が掛かってしまうのも注意です。

 

3-4. 利回り

利回りは基本的かつ重要な指標です。利回りには様々な計算方法がありますが、中でも表面利回りと実質利回りの2つがよく利用されています。

 

・表面利回り

年間の家賃収入の総額を物件の価格で割り戻す計算方法。

 

・実質利回り

賃貸経営の諸経費を年間の家賃収入から差し引き、実際の利益回収率に近い数値を出す計算方法。

 

いくら利回りが良いからとって、それをそのまま鵜吞みにするのは危険です。なぜ利回りが良いのか、その背景を調べ、本当にその利回りになるのか自分で概算してみるのが良いでしょう。

 

3-5. 利便性

入居者にとって、物件の利便性は重要です。一般的に駅に近い物件は人気が高く、時間でいえば徒歩5分~10分以内のところです。ただ、間取りのところでもお話したように、こちらもターゲットを意識する必要があります。例えば、1人暮らしのサラリーマンであれば、毎日の通勤があるため、駅が近い物件を好む傾向があります。

 

しかし、複数人の家族の場合は、自家用車を所有している可能性があったり、駅から少し外れた静かなところで住みたいという場合も多いです。そのため、必ずしも駅が近い物件が良いかというとそうでもないのです。また、駅の他にも商業施設や公共施設なども加味して投資する判断をする必要があるということを覚えておいてください。

 

3-6. 管理費・修繕積立金

築年数が経っているわりに、管理費や修繕積立金が安い場合は注意しましょう。これらは物件の設備が故障した時や清掃など、入居者が問題なく住むために必要な費用です。この安さのまま計算すると実質利回りが高くなるので、優良な物件だと勘違いさせるのが狙いなのです。

 

しかし、管理費や修繕積立金が安いと、物件の維持費を賄えなくなるのは目に見えています。また、物件の老朽化が進むことで、維持費もかさむ一方なのです。管理費や修繕積立金は、高くなることを予測して判断するようにしてください。

 

まとめ

不動産投資で利益を出すためには、投資候補から外す物件のポイントと最良の物件の見つけ方をしっかりと見極めることが重要です。また、ご自身の予算や目標の利回りを整理することで、あなたに合った適切な物件に出会える可能性も高くなります。ただ闇雲に投資するのではなく今回、紹介したことを踏まえて、投資する物件の見極め方を身につけていってください。