ライフイベントの出費や老後資金のことを考え、投資による資産形成を考える方は多いのではないでしょうか。特に不動産投資は不労所得の代名詞として、昔から人気のある投資手法の1つです。金銭面以外でもさまざまなメリットがあり、住宅ローンを組むなら不動産投資ローンの方が得なのでは?という考えも聞かれるようになってきました。今回は不動産投資ローンと住宅ローンの違いを解説した上で、メリット・デメリットについて解説したいと思います。

 

1.    不動産投資ローンと住宅ローンの違いとは?

株式やFXなど、さまざまな投資の中でなぜ不動産ローンと住宅ローンが比べられるのでしょうか。まずは不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて説明していきます。

 

1-1.  目的

大前提として、ローンを組む目的が異なります。不動産投資ローンは不動産として運用したい物件を購入する際組むローンで、住宅ローンは自分の居住用の物件を購入するために組むローンです。金融機関の審査基準は不動産投資ローンと住宅ローンでは異なるので、住宅ローンを組んで収益用不動産の購入費用にあてることは、重大な契約違反にあたるので注意しましょう。

 

1-2. 融資金額

住宅ローンと不動産投資ローンでは、不動産投資ローンの方が融資金額の上限は高額です。これは個人に対する融資か、事業をする投資家に対する融資かの違いでもあります。

一般的に住宅ローンの融資金額は、個人の年収の5倍~8倍が上限ですが、不動産投資ローンは家賃収入だけでなく給与収入や貯蓄も加味されることから年収の10倍~20倍が上限となることもあります。

よって初めての不動産投資ローンでも、年収500万円の人が5,000万円、あるいは1億円を借り入れることも可能となります。

 

1-3. 金利

一般的に、住宅ローンより不動産投資ローンの方が金利は高く設定されています。これは貸し倒れのリスクを防ぐためのもので、住宅ローンが年利0.5%~2.0%程度と低金利なのに対し、不動産投資ローンは年利1.5%~4.5%程度と高めに設定されています。

 

1-4. 審査内容

どちらもローンであり、融資を受ける際には個人の返済能力や信用度などの審査があります。住宅ローンが年収、勤続年数、貯蓄金額、他社での借入金額、金融事故の履歴といった個人の属性が主に審査されるのに対し、不動産投資ローンはそれに加え物件の収益性も加味されます。どのような物件を選ぶかということも、融資を受けられるかどうかを左右することも頭に入れておきましょう。

 

1-5. 返済原資

また不動産投資ローンと住宅ローンでは、何を返済原資とするかも異なります。返済原資とは、借入金の返済にあてる資金のことで、この金額に応じて返済能力が図られます。

住宅ローンの返済原資は、一般的には毎月の給与収入と見なされ、そこから返済原資が計算されます。

一方不動産投資ローンの場合、返済原資は毎月の家賃収入と見なされ、そこから返済原資が計算される点を念頭に置いておきましょう。

 

 

2.    不動産投資ローンと住宅ローンの併用は可能か?

ここまで2つのローンの違いについて説明してきましたが、ではこの2つの併用は可能なのでしょうか?

 

2-1. 併用は可能

結論から言えば、併用は可能です。ですがもちろん、メリット・デメリットも存在します。

 

2-2. 併用の際のメリット・デメリット

併用している場合、運用が上手くいけば家賃収入で住宅ローンの分も賄える可能性もあります。これは間違いなく併用のメリットでしょう。

しかし投資した物件に上手く人が集まらなかった場合、家賃収入が期待できず2つ分のローンの返済を給料から賄う必要があります。そうならないためにも、収益性が高いと思われる物件を見極めることが重要となってくるでしょう。

 

 

3. 不動産投資ローンと住宅ローンのどちらを先にするべき?

併用のメリットやデメリットをお伝えしてきましたが、ではどちらを先に組んだ方が得なのでしょうか?

 

3-1. 不動産投資ローンを先に組むメリット

投資物件の運営に問題がなければ、住宅ローンを組みやすいのは魅力でしょう。前述したように、不動産収入で住宅ローンも賄えるため、将来の貯蓄としても役立つと言えます。また自分が住んでいる居住用の物件では無いため、売却しやすいのも利点と言えます。ライフスタイルを変化させることなく、自己資金が調達できるのは大きな特徴でしょう。

 

3-2. 不動産投資ローンを先に組むデメリット

一方、デメリットとしては、投資物件の運営に問題があった場合、自分の居住用物件を購入する際のローンを組めないリスクがあるということです。収益化に失敗していたり、本人の属性に対して借入額が多い場合は、既存借入と見なされ、住宅ローンの借入可能額が減る可能性があることは念頭に置いておきましょう。

 

3-3. 住宅ローンを先に組むメリット

住宅ローンを先に組みメリットは、第一に自分の居住用物件を確保できることでしょう。特に既に家族が居る場合、住む条件はこだわりたいもの。自分の住みたい場所や条件に合わせ、自由に物件を選択できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

3-4. 住宅ローンを先に組むデメリット

もし不動産投資ローンを組みたいとなっても、住宅ローンは自宅から収益が上がるわけではないため単純な既存借入と見なされ、審査のハードルが上がる可能性があります。既存借入額が大きいため、不動産投資ができない場合もあるでしょう。

また居住用住宅を売却するとなった時、引っ越しを含め自分のライフスタイルに大きな影響を与えるのもデメリットと言えるでしょう。

 

 

4.  結局のところ、どちらの方を先がいい?

ここまでメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、所持している資産価値などによって左右される面も多く、確実にこちらだ!という断言はできないのが現状です。

自己資金に余裕がある、収益性の高い物件に心当たりがあるなど、利益が安定して確保できる場合は不動産投資ローンを組んでもあまり自分の生活に変化は及ぼさないと考えます。

しかし、あくまで不動産投資ローンは「投資」。利益を出したいなら適していますが、自分の住む場所を確保したい、リスクを取るより「安心」が欲しいというなら、住宅ローンを先に組んだ方が良いでしょう。

理想としては、どちらも活用した方がより安心したライフステージを送れるのは事実です。収益性の高い物件の購入を念頭に置きながら、無理せず自分のライフスタイルに合った方法を選択しましょう。

 

 

5. まとめ

いかがでしょうか?今回は不動産投資ローンと住宅ローンの違いを解説した上で、メリット・デメリットについて解説したいと思います。

前述したように、不動産投資ローンと住宅ローン、どちらを先に組んだ方が得かはその人のライフスタイルに合わせて判断されるべきことです。「利益」を取るか「安心」を取るかよくよく考慮の上、自分に合ったスタイルを選択ください。