ライフイベントの出費や老後資金のことを考え、投資による資産形成を考える方は多いのではないでしょうか。特に不動産投資は不労所得の代名詞として、昔から人気のある投資手法の1つです。金銭面以外でもさまざまなメリットがあり、「不動産投資は生命保険代わり」という言葉も聞かれるようになってきました。今回は不動産投資がなぜ生命保険の代わりになるのか解説した上で、メリット・デメリットについて解説したいと思います。

 

1.    不動産投資が生命保険の代わりになるのはなぜ?

株式やFXなど、さまざまな投資の中でなぜ「不動産」への投資が生命保険の代わりになるのか。まずは不動産投資の特徴について説明していきましょう。

 

1-1.   不動産投資は家賃収入などで働かずに収入(不労所得)が得られる

不動産投資とは、自分の所持している、または購入した不動産(土地、建物など)を他者に貸し出し、家賃収入を得る投資です。月々の家賃が定期的に入ってくるので、維持費や金融機関への返済を差し引いた分は、完全に投資家の収入となります。自分が稼がなくても収入が得られる(不労所得)点が、昔から不動産投資が人気だった理由です。

 

1-2. 団体信用生命保険への加入がカギ

しかし不労所得が得られるという点では他の投資も似たようなもの。不動産投資が生命保険の代わりになると言われるゆえんは、「団体信用生命保険」への加入にあります。

不動産は購入した際「団体信用生命保険」に加入することが一般的です。この「団体信用生命保険」、投資者が亡くなったり、重度の病気や障害を患った際には、残りのローンを免除してもらえる仕組みがあります。もし投資者が亡くなっても、遺族がその不動産をローンや債務が無い状態で受け取ることができるのです。残された不動産を引き続き運用することで不労所得を得ることができたり、売却することでまとまったお金が手に入ります。

生命保険とは自分が亡くなった際遺族に一定の金額を遺す制度なので、不動産投資が生命保険の代わりと言われるゆえんはこの「団体信用生命保険」にあると言っても過言では無いでしょう。

 

1-3. 生命保険との仕組みの違い

代わりになると言われている生命保険と不動産投資の違いですが、端的に言えば、遺族が受け取れる資産の違いがあります。生命保険も不動産投資も投資者の死亡後、資産が遺されることに代わりはありませんが、生命保険が一定額の現金ならば、不動産投資は資産価値によっては永続的な家賃収入が可能となります。さらに不動産は現物資産として、その次の世代にも引き継ぐことが可能なところもポイントでしょう。

 

2.    不動産投資(団体信用生命保険)をすれば生命保険は不要?

ともすれば魅力的に思える不動産投資ですが、当然リスクも存在します。不動産投資はその名の通り「投資」。当然リスクを踏まえた上で活用する姿勢が求められるでしょう。生命保険と比較した不動産投資のメリット・デメリットについてご紹介していきます。

 

2-1. 不動産投資(団体信用生命保険)のメリット

・掛け捨て金は発生しない

生命保険は遺族年金のみならず、事故や病気など、さまざまなリスクに備える保険です。保証内容に合わせて月々一定金額を支払っているため、もし健康で過ごしている場合、割戻金が発生したとしても掛け捨て金というものが発生します。また保障金額が高いほど掛け金も高くなり、月に数万円が掛け捨てとなる場合も。

その点不動産投資はローンの返済と家賃収入の差し引き分が必ず得られるので、掛け捨て金というものは発生しません。また安定した家賃収入が可能な不動産の場合、早い段階で返済額を上回るため、永続的に金額が受け取れるようになります。また生命保険のように年齢による契約更新で保険料が上がってしまうこともありません。資産価値次第では有益な収入源と言えるでしょう。

 

・永続的に活用できる

前述したように、不動産は運用資産として、遺族のみならず次の世代にも引き継ぐことができるのも大きなポイントです。またローンを返済し終えた後は、継続的な収入源として、生命保険のみならず年金保険の代わりにもなってくれます。老後のゆとりある生活の一助となってくれることは間違いないでしょう。

 

・節税効果もある

不動産投資以外で収入がある場合、不動産の方で赤字が出ると、損益通算によって所得税や住民税を少なくすることが可能です。

 

2-2. 不動産投資(団体信用生命保険)のデメリット

ここまで不動産投資(団体信用生命保険)メリットをお伝えしてきましたが、投資としてのリスクがあるのも事実。生命保険と比較したデメリットをお伝えしていきます。

 

・資産価値などで収入が左右される

生命保険は月々一定の金額を支払えば、保証期間の間定められた金額を手にすることができます。一方不動産投資は家賃収入が主な収入源なので、一定の収入が見込めないリスクも存在します。

例えばマンションやアパートと言った居住用不動産の場合。近隣に競合物件が多数あると、差別化を計らないと入居率も低くなり、収入につながらないケースもあります。

また不動産投資ならではの問題として、家賃滞納も見過ごせません。滞納が続いて強制退去となれば、訴訟に関する手間や費用も発生します。事前対策として、入居審査の厳格化などがあればリスクを減らすこともできますが、不動産投資は一概にして、資産価値を考慮した運用をする必要があるでしょう。

 

・維持費や運用費も発生する

特にマンションやアパートといった住居不動産の場合、水回りや床などの修繕費に加え、年月が経てば諸々の維持費も必要となってきます。

また自然災害のリスクも視野に入れる必要があります。台風や地震などで建物が崩壊した場合、当然家賃収入はストップするどころか、改修費などでさらなる出費がかかります。そのため不動産を購入する際には、購入する地域が災害警戒区域に設定されていないかチェックが必要でしょう。またもしもの時の備えのために、火災保険や地震保険への加入もオススメします。

 

3.    結局のところ、不動産投資と生命保険はどちらがいい?

ここまで不動産投資のメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、所持している資産価値などによって左右される面も多く、確実にこちらだ!という断言はできないのが現状です。あくまで不動産投資は「投資」であり、利益を出したいなら適していますが、「安心」が欲しいなら生命保険の方が適しているでしょう。

また理想としては、どちらも活用した方がより安心したライフステージを送れるでしょう。しかし団体信用生命保険と生命保険の内容がかぶっていると、掛け捨て金の発生などで損をしてしまう場合も。生命保険の種類にはよく注意しておきましょう。

 

4. まとめ

いかがでしょうか?今回は不動産投資がなぜ生命保険の代わりになるのか解説した上で、メリット・デメリットについてご紹介しました。万が一の場合のことを考え、「安心」のためにお金を使うのが生命保険です。不動産投資によって「安心」が得られるかどうか、よくよく考慮の上、自分に合ったスタイルを選択してください。