ライフイベントに必要な出費や漠然とした老後の不安など、お金に関わる不安は常について回ります。そのため、投資や資産運用を考える人も多いのではないでしょうか。しかし、投資と資産運用は、少しばかり意味合いが違うもの。今回は資産運用と投資の違いを解説した上で、メリット・デメリットをお伝えします。
1. 資産運用と投資の違いとは
公的年金の不安や長寿化によって、漠然とした老後の不安は誰しもが感じていることでしょう。またライフイベントにおいてもさまざまな出費があります。将来、衰えていく自分の労働力だけでお金を増やすのは限界がある。そう思ったとき、今あるお金をどうするか考えることでしょう。今手元にある金をどのように配分するか考え、実行することを「資産運用」と言います。
「投資」は資産運用の方法の一つであり、今あるお金を将来のため「増やす」ことを目的に配分することを指します。もう一つは「預貯金」であり、今あるお金を将来のため「蓄える」ことを目的に配分することを指します。
1-1. 投資と預貯金
資産運用には増やすことを目的とした「投資」と貯めることを目的とした「預貯金」があります。株式や投資信託などの購入がこの「投資」にあたります。
かつては金利も高く、「銀行に預けるだけで金が増える」という時代もありました。しかし現在は低金利政策が続いており、資産運用としてお金を増やす取り組みとしては「投資」が一般的となっています。
2. 資産運用や投資をする際の注意点
前述したように、資産運用とは今あるお金を「蓄える」か「増やす」ことを考え、実行することを指します。その際注意するべきポイントをご紹介します。
2-1. なんのためにするのか目的を明確にする
資産運用を何のためにしたいのか明確にしておくことで、取る手段が変わってくるのは言うまでもありません。例えば老後のためにコツコツお金を増やしたい、ということであればリスクが小さい債券や預貯金などが選択肢になりますし、「思い切り贅沢がしたい!」ということであればハイリスクハイリターンの投資も視野に入るでしょう。あらかじめ目的を明確化し、自分に合った方法を見つけましょう。
2-2. 余剰資金で無理のない範囲で行う
皆さんご理解頂けていると思いますが、投資をすれば必ずお金が増えるというわけではありません。むしろ減る可能性もあります。それを理解した上で投資を行うのであれば、余剰資金から始めましょう。余剰資金とは、日常生活を送るのに最低限必要な日常生活費、収入が途絶えても一定期間生活できる生活防衛資金、結婚や出産、葬式などにかかるライフイベント準備金などがこれにあたります。
もちろんこれは人それぞれで、目立ったライフイベントが無い場合はそれを余剰資金として扱うのも一つの手です。
2-3. 分散投資を意識する
前述したように、投資にはリスクがつきもの。よって同じ200万円でも、1社に全額投入するのではなく、複数社に分散した方が、会社が倒産した際のリスクは低いと言えるでしょう。特に投資初心者の場合は、複数社への投資をオススメします。
2-4. 長期的な視点で見る
不労所得として人気の投資ですが、株の価値は一朝一夕には上がりません。むしろ何年後かして価値が上がった時に売ろう、というくらいの長期的な視野が必要と言えるでしょう。自分が何のために投資をしたか目的を振り返り、無理のない投資を行いましょう。
3. 投資のメリット
3-1. 労働以外で「不労所得」を得たり、資産を増やすことができる
自分の労働力を対価にお金を得るのは限界があります。その分投資はお金を元にお金が増えていくので、自分の労働力以上のお金を得ることができます。働かずにお金が増えていくのは確かな魅力と言えるでしょう。
3-2. 将来の資産形成や老後の資金を増やすことができる
投資にはさまざまなスタイルがありますが、代表的なものは株と言えるでしょう。株は変動値が高く、多くの人が買うほど価値が上がり、多くの人が手放すほど価値は下がります。一般的に業績が好調な企業ほど株が買われやすく、株の価値も上がっていくので、中長期的に見れば元金より大きな利益を生むでしょう。
また投資には、中長期的に行っていくことで、投資資金を運用して得られた利益が更に運用されて増えていく「複利」の効果があります。老後の資産形成の方法として、投資は最適解の一つとも言えます。
3-3. インフレによって起きるリスクを回避できる
インフレが起きて物価が上がると、その分使うお金が掛かります。その当時は100万円だった車も、物価が上昇すれば値段はどんどん上がっていくでしょう。実質的に、貯金に回していたお金の価値は下がることになります。しかし投資は一旦株を所有してしまえば、その価値はモノの値段には左右されないので、リスクを回避することができます。
4. 投資のデメリット
4-1. 元本割れをするリスクがある
前述したように、投資にはリスクがあるのも事実。株価は人の取引によって決まるので、国際情勢や景気、企業の業績など、さまざまな要因で株価は変動する可能性があります。「株で損した」というのは、株価が落ちて元が取れなくなったということ。貯蓄と違い、自分の所有するお金が無くなるケースもあることは自覚しておきましょう。
4-2. 利益を得るまで時間がかかる
不動産や株式は、流動性が低く、売りたいときに売れなかったり、希望する価格に中々ならないのも事実です。前述したように、利益が出るまで気長に待つ姿勢が必要となってきます。老後の資産形成のため、くらいに思っていた方が焦らずにすむかもしれません。今すぐ大金を稼げるシステムではないことを念頭に置いておきましょう。
4-3. 情報取集をしたり知識を身につける必要がある
前述したように、株価は人の取引によって決まるので、国際情勢や景気、企業の業績など、さまざまな要因で株価は変動する可能性があります。そのため投資するときには、本当にこの銘柄を買って損はしないかきちんと情報収集する必要があるでしょう。また不動産も同様、収益性が高いか確認しなければ、負債だけが貯まっていくことになります。
会社で雇用契約を結び給料をもらうのとは違い、不労所得は自己責任に依る部分が大きいのも事実。しっかり情報を把握し、できればある程度預貯金に余裕を持った状態で行うのが良いでしょう。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は資産運用と投資の違いを解説した上で、メリット・デメリットをご紹介しました。前述したように、資産運用における投資はそれぞれメリット・デメリットが存在します。もちろん、ただ貯めておくだけではお金が増えないのも事実。どちらか一方に偏るのではなく、自分のライフスタイルを鑑みた上で、自分の持っているお金を上手く分配することが賢く資産形成をする秘訣と言えるでしょう。