インフレ対策のためにどのような資産運用を行えばいいのか、わからない方も多いのではないでしょうか。早い段階からインフレ対策を行わなければ、将来的に生活費が足りない事態にもなりかねません。
この記事では、不動産を用いたインフレ対策について解説します。
インフレ対策の資産運用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1. そもそもインフレとは
インフレとはモノやサービスの価格が上がり、相対的にお金の価値が下がることです。
モノやサービスの価格が上がれば、購入するために必要なお金が増えてしまいます。
例えば、これまで1個120円だったおにぎりが、1個200円になったとしましょう。
これまで1,000円で8個買えていたおにぎりが、同じ1,000円で5個しか買えなくなってしまいます。このように相対的にお金の価値が下がることが、インフレです。
所持金も増えれば問題ありませんが、モノやサービスの価格だけが上がってしまうと、購入できるものが限られてしまうでしょう。今後のインフレへの対策として、資産運用が必要です。
2. インフレに強い4つの資産
インフレ対策の資産運用では、資産を選びが重要です。
ここからは、インフレに強いとされる4つの資産を紹介します。
2-1. 株式
インフレに強い資産の代表例は『株式』です。
インフレ時には物価が上昇するため、モノやサービスを提供している企業の業績が伸びるタイミングです。
企業の株式を所有することで配当金や株主優待を得られるだけでなく、株価上昇後に売却することで多くの利益が出せるでしょう。
このように、企業の業績が伸びやすいインフレ時において、株式はインフレ対策となります。ただし、必ず利益が望めるものではないため、企業の業績などを踏まえて検討しましょう。
2-2. 金
インフレに強い資産2つ目は『金』です。
金は価値のある資源として世界的に信用があり、インフレ時に買われる傾向にあります。
株式と異なり、『現物資産』であるため、価値がゼロになることはありません。
そもそも、限られた資源でもあるため、金そのものに価値があるでしょう。
そのため、インフレ対策だけでなく不況の際にも安定資産として人気があります。
2-3. 投資信託
インフレに強い資産3つ目は『投資信託』です。
投資信託とは、資金を投資会社に預け運用してもらう商品で、運用から得られた利益が分配される仕組みです。
独学で企業分析を行い、株式を購入することは難しく不安な方も多いでしょう。投資信託では、プロが自分の代わりに株式や債券などへ投資してくれるため安心して任せられることが特徴です。
プロに運用してもらううえで、『購入時手数料』や『信託報酬』といったコストがかかるため、自分で株式を購入する労力や得られる利益と、投資信託のコストを比較しましょう。
2-4. 不動産
インフレに強い資産4つ目は『不動産』です。
現物資産である不動産は、インフレ時の物価上昇に伴い価格も上昇します。
また、賃貸物件として貸すことで、賃料収入のインカムゲインと、物価上昇に伴うキャピタルゲインの両方を狙える特徴があります。
賃料も物価とともに上昇する傾向にあるため、より多くの収益が期待できるでしょう。
ただし、物件購入時には準備資金が必要です。資産のリスクも踏まえて検討しましょう。
3. 不動産投資がインフレ対策に有効な4つの理由
不動産投資は、インフレ対策の資産運用として最大限の効果を発揮するでしょう。
不動産投資がインフレ対策に有効な4つの理由を解説します。
3-1. 現物資産である
現物資産である不動産は、インフレ時に価格が上昇します。
建物は年々価値が下がりますが、土地の価値は物価によって変動するため、インフレ時において2,000万円で購入した不動産が、数年後に2,500万円で売れたということも珍しくありません。
また、株式などはインフレ時であっても企業が倒産した場合、価値がゼロになってしまいますが、現物資産である不動産は価値がゼロになることはありません。
3-2. レバレッジをかけられる
投資の世界におけるレバレッジとは、自己資本ではなく他人資本を使って投資を行うことを指します。
レバレッジ効果を利用する際、少額からでも始められる投資効率の良さと、機会損失を避けられるメリットがあります。
不動産投資を行う際には、不動産投資ローンを利用できますが、同じ現物資産である金でも、金を購入する際にローンは組めません。
不動産は担保価値も高いため、レバレッジを効かせた投資が可能です。
3-3. 家賃が上昇する
インフレ時には物価が上がるため、家賃も緩やかに上昇します。
不動産投資の収入の大半は家賃です。
家賃が上がれば収入が増え、利回りも良くなるでしょう。
不動産は築年数が経過すると家賃が下がることが一般的ですが、インフレ時であれば家賃を高く設定できます。
だだし、不当に値上げを行うと、借主が退去してしまったり、新しい借主が決まらなかったりするため、注意が必要です。
物価の上げ幅を考えたうえで、家賃を設定しましょう。
3-4. キャピタルゲインを狙える
インフレで不動産の価格が上昇した場合、購入時よりも高い価格での売却が期待できます。
不動産は元々の価格が高いため、売却時の利益も大きくなります。
賃料収入で安定的なインカムゲインを得たうえで、タイミングを見計らって売却し、キャピタルゲインを得るという方法で利益を出せることが不動産投資の特徴といえるでしょう。
しかし、売却するタイミングを逃してしまうと次のインフレはいつになるかわかりません。売却のタイミングを慎重に考えて、キャピタルゲインを狙う必要があります。
4. 不動産投資の3つのリスク
投資の世界においてリスクとリターンは表裏一体の関係です。リターンばかりに目を向けるのではなく、リスクについても理解する必要があります。
不動産投資の3つのリスクについて解説します。
4-1. 借主とのトラブルリスク
1つ目のリスクは下記のような借主とのトラブルリスクです。
- 賃料滞納
- 故障、不具合
- 事故・事件
賃料は不動産投資の収入源であるため、滞納されると生活に支障がでます。
また、設備の故障や不具合で急遽対応に追われることもあるでしょう。
事故や事件などが生じると不動産の資産価値に大きな影響を与えるため、今後の不動産投資を左右します。
このような借主とのトラブルを避けるためにも、管理会社に管理を委託することがおすすめです。管理委託契約を結ぶことで、賃料の回収や、トラブル時の窓口業務を管理会社が行ってくれるため、手間をかけずに不動産投資ができます。
4-2. 修繕・老朽化リスク
2つ目のリスクは修繕・老朽化のリスクです。
不動産は築年数が経過する毎に、老朽化し修繕箇所が増えてしまいます。予期せぬ故障が発生し、突然の出費が必要になることもあるでしょう。
また、修繕を怠ってしまうと入居者が決まらず空室期間が伸びてしまうこともあります。
不動産投資は、購入初期と同じ資金計画のままでは、運用が上手くできません。
不動産は築年数が経過するごとに支出が増える前提で、資金計画を立てましょう。
4-3. 流動性リスク
3つ目のリスクは流動性リスクです。流動性とは売買のしやすさを指します。
不動産は購入金額が高いうえに現物資産なため、流動性が低く売りたい時に売れません。
株式などは簡単に取引できますが、不動産は売却するまでに手間と時間がかかります。
不動産の売却を開始してから、実際に買主が見つかり売買契約するまで数か月かかるのが一般的です。売りたい時に売れない場合、インフレで利益を出せるタイミングを逃してしまうこともあるでしょう。
事前に不動産会社と売却のスケジュールや価格を考え、売却したい時にすぐに行動に移れる準備が大切です。
5. まとめ
不動産を用いたインフレ対策について解説しました。インフレ時には物価が上がり、相対的にお金の価値が下がるため、インフレに強い資産運用で対策する必要があります。
なかでも不動産はインフレ時の資産運用として相性が良く、インフレ対策だけでなく利益も期待できます。
この記事で解説した不動産投資がインフレ対策になる理由や、事前に考えておくべきリスクを押さえ、適切にインフレ対策をしましょう。