マイホームの購入を考えるときに、利用する住宅ローン。その住宅ローンには「変動金利」と「固定金利」2種類があり、どちらにするか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。今回は、変動金利と固定金利の特徴やメリット・デメリット、それぞれに向いている人・向いていない人について解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

 

1. 【変動金利と固定金利】それぞれの特徴を解説

それではまず、変動金利と固定金利のそれぞれの特徴について解説していきます。

 

1-1. 変動金利の特徴

変動金利の特徴は、半年ごとに金利が見直されること、そして金利が1番低く設定されているということです。金利が下がるほど返済額は減り、逆に金利が上がれば返済額は増えてしまいます。変動金利は半年ごとに金利が見直されますが、返済額も半年ごとに変動になるかというと、そうではありません。変動金利には以下の2つのルールがあります。

 

【5年ルール】

金利の変動は半年ごとですが、返済額の見直しは5年ごとに変動するという「5年ルール」というものがあります。これにより、次の5年で金利が上がったときのために、準備をする猶予ができると考えるとよいでしょう。

 

【125%ルール】

2つめは「125%ルール」です。これは、返済額の見直しが行われて5年後には、どれだけ金利が上がっても1.25倍にしかならないというもの。例えば、毎月の返済額が20万円だった場合は、どれだけ金利が上がったとしても125%の25万円が上限ということです。

 

1-2. 固定金利の特徴

固定金利の特徴は、その名のとおり金利が固定されているということです。また、固定金利には「全期間固定金利型」と「固定金利選択型」の2種類があります。

 

【全期間固定金利型】

最初に定めた金利が返済終了まで続きます。

 

【固定金利選択型】

固定金利選択型は、契約時に3年、5年、10年といった期間を選択し、この選択した期間は固定の金利になるというものです。選択した期間が終了した後には、変動金利に移行するか、改めて期間を選択するかのどちらかを選ぶことができるのが一般的です。

 

2. 変動金利のメリット・デメリット

それでは次に、変動金利のメリットとデメリットについてお伝えしていきます。変動金利にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 

2-1. 変動金利のメリット

【変動金利のメリット1:金利が低めに設定されている】

変動金利の1番のメリットは、金利が低めに設定されているということでしょう。1%を割る場合も珍しくはありません。そのため、返済が終えるまで金利の上昇がなければ、ずっと低金利のまま、ということもありえます。

 

【変動金利のメリット2:5年ルールと125%ルールが適用される】

先述した5年ルールと125%ルール。これらにより、金利が上昇したとても、返済額は5年ごとの見直しであり、金利の上昇は1.25倍までに抑えられます。

 

2-2. 変動金利のデメリット

【変動金利のデメリット1:金利の上昇リスクがある】

変動金利の1番のデメリットでしょう。契約時は低金利だったとしても、将来的に金利が上昇する可能性は大いにあります。メリットのところでもお話したように、返済が終えるまで低金利のままでいく可能性もあります。しかし、金利の動きというのは誰にも予測することはできません。そのため、「金利は上がるもの」と考えておいたほうがよいでしょう。

 

【変動金利のデメリット2:返済計画が立てづらい】

金利上昇のリスクがあるため、返済の計画が立てづらいというデメリットもあります。低金利が続けばよいですが、金利上昇が続いてしまった場合、最終的な返済額が高くなってしまい負担も大きくなります。そのため、契約時に予定していた返済計画から大幅にズレてしまうことも。

 

このように、低金利が続くことで変動金利のメリットの恩恵は大きいものの、金利の動きは予想できるようなものではありません。変動金利はメリットが大きいですが、その分デメリットもあるということを覚えておいてください。

 

3. 固定金利のメリット・デメリット

次に、固定金利のメリットとデメリットについてお伝えしていきます。固定金利には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 

3-1. 固定金利のメリット

【固定金利のメリット1:金利が固定されている安心感】

固定金利のメリットは、やはり金利が固定されていることへの安心感です。固定されているので、金利がいくら上がっても返済額に影響が出ることはありません。また、低金利のときに契約することで、返済が終了するまで低金利が続きます。

 

【固定金利のメリット2:全期間固定金利型を選んだ場合、返済計画が立てやすい】

金利が固定されているので、返済計画が立てやすいというメリットもあります。

 

3-2. 固定金利のデメリット

【固定金利のデメリット1:金利が高めに設定されている】

固定金利は、変動金利よりも金利が高めに設定されています。そのため、変動金利よりも結果的に返済額が高くなってしまうこともあります。

 

【固定金利のデメリット2:金利が下がっても恩恵を受けられない】

固定のため、いくら金利が上がっても返済額に影響はないというメリットがある分、下がったとしても影響はないというデメリットがあります。

 

【固定金利のデメリット3:固定金利選択型を選んだ場合は、返済計画が立てづらい】

固定金利には、「全期間固定金利型」と「固定金利選択型」の2つがあるとお話しました。全期間固定金利型を選んだ場合は問題ないのですが、固定金利型選択型の方を選んだ場合、固定期間が終了した際に、改めて金利タイプを選び直します。その時点での金利タイプを選ぶので、当初に立てていた返済計画とのズレが生じてしまう可能性も。

というように、固定金利には安心感があるものの、場合によっては変動金利よりも返済額が高くなってしまうこともあります。また、固定金利選択型は必ずしもすべてが固定されるというわけではないということを忘れないようにしましょう。

 

 

4. あなたに向いているのは変動金利?それとも固定金利?

変動金利と固定金利のメリット・デメリットをお伝えしてきたところで、次はそれぞれの金利に向いている人と向いていない人についてお話していきます。ご自身のライフスタイルは、どれに当てはまるかなどを考えながら見ていってください。

 

4-1. 変動金利に向いている人

【余裕資金や家計に余裕がある】

変動金利は低金利が続く可能性がありますが、金利が上がったときのことも考えて余裕資金や家計に余裕がある人が向いているといえます。ある程度、返済額が増えてしまっても支払えるような余裕があるならば、変動金利を選ぶのがよいでしょう。例えば、夫婦共働きで世帯年収が高い場合や、住宅ローン用のまとまった資産がある場合などです。

 

4-2. 変動金利に向いていない人

【まだ子どもが小さいなど、別のところで資金が必要になる】

子どもがまだ小さい場合は、今後の教育費なども考えて金利上昇のリスクがある変動金利は避けた方がよいでしょう。また、それ以外のところで大きな出費の予定や、定期的に出費が発生する予定があるならば、避けた方が無難です。

 

4-2. 固定金利に向いている人

【将来的に余裕ができる】

今後10年を目安に子どもの独立によって家計に余裕ができる場合は、固定金利が向いているでしょう。また、退職金を使って完済する予定など、将来的に余裕ができたり、資金・資産を得られる見込みがある場合は固定金利を選ぶことをおススメします。

 

4-3. 固定金利に向いていない人

【資金や家計に余裕がある人】

変動金利に向いている人のところでもお伝えしましたが、金利が上がって返済額が増えても大丈夫なくらい余裕がある人は固定金利よりも変動金利の方が向いているといえるでしょう。

 

あなたに向いている金利のタイプは、変動金利と固定金利のどちらでしたでしょうか。これを機会に、ライフスタイルの振り返りを行ってみるのもいいかもしれません。

 

 

5. まとめ

金利の変動がある変動金利と金利が固定される固定金利、それぞれの特徴とメリット・デメリットなどをお伝えしてきました。金利が低めに設定されている変動金利の方がお得なように感じるかもしれません。しかし、金利の動きは予想できるものではありませんので、上昇するリスクも十分に加味する必要があります。固定金利は安心感がありますが、場合によって変動金利よりも返済額が高くなってしまうことも。いずれにしても、ご自身のライフスタイルに合わせた金利タイプを選び、無理のない範囲で住宅ローンの計画を立てるようにしましょう。