不動産投資を行う際、ほとんどの方は金融融資を受けることになるでしょう。
基本的に自己資金も準備しますが、購入資金の大半は金融機関からの融資でまかないます。
融資を受ける場合、審査を通過する必要があるため、融資を借りるまでの工数がかかりますが、自己資金の何倍もの金額を借り入れることが出来れば、大きなメリットがあるでしょう。
この記事では不動産投資を行ううえで、金融融資を利用するメリットについて解説します。
1. 金融融資とは
不動産投資を行う場合には、金融機関から融資を受け物件を購入をします。
融資を受けられる金融機関は大きく5つに分類され、それぞれについてメリットや向いている物件があります。各金融機関ごとの特徴をまとめたので、融資を検討している方は参考にしてください。
1-1. 都市銀行(メガバンク)
都市銀行(メガバンク)といえば、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行の4行を指すことが多いです。各行の融資金額や金利などの条件に差はほとんどありません。また、都市銀行の支店は全国どこにでもあるため、融資の相談や手続きが行いやすいことも特徴です。
ただし、都市銀行で融資を受ける際、勤務先や年収などの審査基準が厳しいため、自分が条件に当てはまっているのかを確認するようにしましょう。
【特徴】
・新築や築浅で、都市圏にある物件が得意
・金利は1%前後の低金利
・全国で融資を受けることができる
・融資の審査基準が高い
1-2. 地方銀行
地方銀行とは、千葉銀行や京都銀行など地方にある銀行のことです。
関西みらい銀行や西日本シティ銀行も地方銀行に当たります。
地方銀行では、金利や融資金額の条件は各行で異なります。
また、都市銀行と比べ、地方銀行の方が金利が高いというデメリットがありますが、融資を受ける際の審査条件が緩いことが特徴です。
【特徴】
・築古の一棟マンションやアパートなどの高利回り物件でも融資を受けやすい
・1.5~2.5%と比較的低金利
・支店は地域にしかないため、融資可能エリアは狭い
・融資の受けづらい経営者でも、取引のある金融機関なら融資を受けやすい
1-3. 信用金庫(信用組合)
信用金庫は地方銀行と同じ金融機関とみなされることもありますが、信用金庫は営業できる地域が限定されている点で地方銀行と異なります。
例えば、地方銀行である香川銀行では、香川県以外に支店がある場所でも融資が可能で、近隣の都道府県に在住の方でも融資を受けることができます。
一方で、信用金庫であれば、同じ都道府県もしくは定められた近隣の都道府県の一部でしか融資を受けられないことがあります。
融資可能地域は限定されているものの、条件さえあえば、好条件の融資を受けることができることも特徴です。
【特徴】
・融資可能エリアが狭い
・金利は2%半ば
・融資可能エリア内であれば比較的有利な条件で融資が受けられる
1-4. ノンバンク
ノンバンクとは預金業務を行わない金融機関のことです。
貸付だけを行う、消費者金融やクレジットカード会社、信販会社のことを指します。
主なものだと、オリックス銀行や三井住友トラスト・ローン&ファイナンスなどが挙げられるでしょう。
金利は比較的高いですが、融資基準は低く、審査後から融資がされるまでのスピードが早いことが特徴です。また、融資が受けづらい物件や、条件的にメガバンクなどで融資が受けられないサラリーマンでも融資が受けられます。
【特徴】
・融資エリアは全国
・金利は2.9~3.5%
・融資期間を長くすることができる
・融資のハードルが低い
1-5. 日本政策金融金庫
日本政策金融公庫は財務省所轄の金融機関です。
女性や高齢者であっても融資が受けやすく、優遇処置が受けられます。
また、融資期間は10~15年と短いですが、低金利であることが特徴です。
ただし、手続きが不動産業者に任せることが難しく、融資を受けるには本人が日本政策金融金庫の支店で交渉する必要があります。
【特徴】
・融資できる物件の幅が広い
・金利は1.2~2.0%と低金利
・融資期間は短い
・女性や高齢者でも融資を受けることができる
・本人が支店で交渉や手続きをしなければならない
2. 金融融資を利用するメリット
金融融資を利用して不動産投資を行う際のメリットは以下の4つがあげられます。
- レバレッジ効果が期待できる
- 融資の返済は不動産の収益で行える
- 資金(現金)を残せる
- 団体信用生命保険を利用できる
それぞれについて、どういった利用方法なのかを解説します。
2-1. レバレッジ効果が期待できる
不動産投資で金融融資を利用する最大のメリットは『レバレッジ効果』です。
レバレッジとは、てこの原理のことを指し、少額の資金で高額の資産運用を行うことを表しています。
資産運用は元本に対して年間に数%の利回りを受けることで利益を出します。
株式投資などでは高額の借り入れは行えませんが、不動産投資では低金利の融資を受けることで高額の物件を購入することができます。
そのため、レバレッジ効果により、手元に少額の資金しかなくても、不動産物件として高額の資産を運用することができるようになるでしょう。
2-2. 融資の返済は不動産の収益で行える
融資を受け不動産を所有すれば、毎月の支払いを不動産の収益で返済することができます。
つまり、家賃収入をそのまま毎月の支払いに回すことで、自己資金をかけることなく支払いを行うことが可能です。
毎月返済といった資金の負担がかからないことが、不動産投資の大きなメリットといえるでしょう。
2-3. 資金(現金)を残せる
他の資産運用方法に比べると不動産投資の方が、手元に資金を残すことができます。
株式投資で利益が上がらない場合、投資した分だけ資金が手元から無くなってしまいますが、不動産投資であれば初期費用以外に大きな資金が必要になることはありません。
また、当初の計画通りにキャッシュフローが安定すれば、毎月の家賃収入として収益を受け取ることが可能であるため、手元に資金を残しながら投資を行えることが不動産投資の魅力でしょう。
2-4. 団体信用生命保険を利用できる
融資先の金融機関によっては、団体信用生命保険を利用できます。
団体信用生命保険とは債務者が死亡、または高度障害になったり、三大疾病やガンなどの重病を患ったりした時に、債務者に代わり弁済してくれる保険のことです。
団体信用生命保険に加入しておくことで、生命保険金の代わりとして、家族に不動産を残せることもメリットでしょう。
3. 金融融資を利用するデメリット
金融融資を利用するためには、デメリットも存在します。
今回紹介するデメリットも考慮して、不動産投資に金融融資を利用するかを検討しましょう。
3-1. 自宅の住宅ローンが利用しづらくなるケースも
不動産投資で金融融資を行うことで、自宅の住宅ローンを受けづらくなるケースがあります。
一般的に住宅ローンの金額は年収の6~8倍などで計算されますが、借り入れがある場合はその金額から借入金額が引かれます。
そのため、既に不動産投資で物件を所有している場合は、借り入れの枠が無くなると自宅のローンが受けられません。
そのような事態を防ぐために、金融機関によっては不動産投資での収益次第で問題なく融資を受けられるようにしているところもあります。
自宅を購入する前に、不動産投資で融資を受けたい場合は注意しましょう。
3-2. 審査が厳しい
一般的に不動産投資での融資は住宅ローンに比べると審査の基準が厳しいとされています。
不動産投資では返済が家賃収入によって行われるため、想定よりも空室率が多くなってしまったり、経年劣化や近隣の家賃相場の変化などで家賃が下がってしまったりすると、自己資金での返済が必要になる場合があるからです。
また、対象者の年収や年齢、勤務先などの情報に注目して審査されます。
公務員や上場企業の社員、医者や弁護士などの士業、医療従事者などは融資を優遇されることがありますが、中小企業の社員や経営者は融資が厳しい傾向にあります。
また、クレジットカードなどの延滞があれば融資が通らない可能性も高いです。
審査の通りやすさは、物件の場所や耐用年数など資産性の高さが影響することもあるでしょう。
4. まとめ
今回は不動産投資を行う上で、金融融資を受けるメリットやデメリットについてまとめました。
金融融資を受ける金融機関は大きく5つに分類され、融資を受けたい物件や自身の属性などによって使い分ける必要があります。
十分にリサーチしたうえで金融機関に相談することをおすすめします。